居宅ケアマネ転職の面接で確認すべきこと|面談30分で決めた私の確認リスト【転職連載④】

机をはさんで向かい合う2脚の椅子と、机の上に置かれた1枚の書面のイラスト 介護・転職・キャリア

「面接で、何をどこまで聞いていいんだろう」

転職活動でいちばん迷うのが、ここではないでしょうか。

給料のことを聞いたら、がめつい人だと思われないか。残業のことを聞いたら、やる気がないと思われないか。子どもが熱を出したときどうなるか——いちばん知りたいのに、いちばん聞きづらい。

こんにちは、ケアマネパパです。介護業界歴約20年、2026年9月に施設ケアマネから居宅ケアマネへ移ったばかりの一児のパパです。

今回は、その「聞きづらいこと」の話を書きます。ただ、先に正直に言っておきます。

私の転職に、面接はありませんでした。

第3回に書いたとおり、今回は先方からの直接の打診でした。履歴書を送って、面接を受けて、結果を待つ——そういう過程を踏んでいません。あったのは、事業所での30分の面談が1回だけです。

だからこの記事は「面接の攻略法」ではありません。面接という場がなかったからこそ、自分から聞くしかなかった。その確認事項を並べます。エージェント経由で面接を受ける方にも、そのまま使えるはずです。

この記事でわかること

  • 口約束で終わらせないために、私がしたこと
  • 実際に確認した条件(担当件数・インセンティブ・働き方・体制・給与)
  • 給与が上がらない転職を、それでも選んだ理由
  • そのまま使える確認リスト

始まりは、元上司からの電話1本でした

「興味ない?」

かかってきた電話は、それだけでした。相手は元上司です。

かつて一緒に働いた人が、いま別の場所にいて、こちらの状況を知ったうえで声をかけてくれた。第3回で「2回の転職は地続きだ」と書いたのは、この部分です。求人票から始まった転職ではなく、過去の仕事ぶりから始まった転職でした。

ただ、ここには落とし穴もあります。

気心の知れた相手だと、条件の話が後回しになる。

「あの人が誘ってくれるなら大丈夫だろう」——そう思ってしまうからです。実際、私もそう思いました。思ったうえで、確認しました。

面談は、事業所で30分。相手は元上司ひとり

改めて場が設けられました。場所は事業所、相手は元上司ひとり、時間は約30分。面接と呼べるものは、最後までありませんでした。

面接と面談は、似ているようで決定的に違います。

面接なら、労働条件は向こうから説明されます。募集要項もあります。ところが面談は、すでに話がまとまっている前提で進みます。和やかに近況を話しているうちに、気づけば「じゃあ、よろしく」となりかねない。

和やかであることと、条件が良いことは別の話です。

しかも30分は、条件を一つずつ確認するには短い。聞きたいことを整理しないまま臨むと、まず間に合いません。

ちなみに、面談が事業所だったのは結果的に良かったと思っています。事務所の中を見られるからです。何人が座っているか、電話がどのくらい鳴るか、空気がどうか。求人票には載らない情報が、そこにはあります。

いちばん大きかったのは、条件を書面でもらえたこと

この記事で、ひとつだけ持ち帰ってもらえるなら、ここです。

私は、条件を書面でもらいました。

和やかな面談で、相手は元上司。口頭で「こういう条件でどう?」と言われて「分かりました」で終わっていても、不思議ではない場面でした。

書面があると、何が変わるか。

持ち帰って読めます。30分の面談で条件を全部覚えるのは無理です。私が返事まで1週間かけられたのは、手元に書面があったからでした。

家族と共有できます。「たぶん給料はこのくらいで、休みはこうだったと思う」では、家族は判断できません。子育て中の転職は、自分ひとりで決める話ではありません。

そして、後から立ち返る場所になります。口頭のやり取りは、お互い善意でも食い違います。この効果は、入職後に効いてきました(最後に書きます)。

もし書面が出てこなかったら、私ならこう言います。

「家族にも説明したいので、条件を書いたものをいただけますか」

自分のためではなく、家族のためという理由にすると、格段に頼みやすくなります。そもそも労働条件の明示は、雇う側の義務として労働基準法第15条第1項に定められています(出典: e-Gov法令検索 労働基準法)。頼むこと自体、何もおかしくありません。

確認したこと①担当件数——「何件から」を聞く

まず聞いたのが担当件数です。施設から居宅に移る人にとって、ここは最大の不安だと思います。第2回で整理したとおり、居宅ケアマネの担当件数には逓減制という考え方があり、件数がそのまま働き方と収入に直結します。

確認して分かったのは、こういう仕組みでした(※私の勤務先の例です。具体的な件数と金額は伏せます)。

  • 一定の件数までは、基本の給与
  • そこを超えた分は、1件あたりいくら、という形で上乗せされる

この仕組みが分かると、事業所が自分に何を期待しているかが読めます。「まずはこの件数を」という期待値が、数字で示されているということです。未経験で入って初日から上限まで、という話ではない。それが分かっただけで、だいぶ気が楽になりました。

一方で、頑張った分が可視化されるということは、頑張らないと上がらないということでもあります。基本給に全部含まれている事業所と、どちらが良いかは人によります。

聞き方のコツを書いておきます。「何件持ちますか?」だけだと、返ってくるのは「人によります」です。そうではなく、

「何件から、給与の扱いが変わりますか?」

と聞く。こちらのほうが、事業所の設計思想がはっきり見えます。

確認したこと②働き方——直行直帰、完全フレックス、そして通勤5分

ここは、私が転職を決めた理由そのものでした。第1回に書いたとおり、施設を出ようと思った最大の理由は子どもと過ごせる時間です。絶対に曖昧にできません。

書面で確認できた条件は、次のとおりです。

  • 直行直帰OK
  • 完全フレックスタイム制
  • 土日祝休み/夏季・冬季休暇あり
  • 記録は自宅で書いてもよい/事業所への出勤は不要

施設で働いていた方なら、この意味が分かると思います。施設ケアマネは多くの場合シフトの中にいて、私も送迎や事務所対応を兼務していました。自分の1日を自分で組み立てるという発想自体が、そもそもありませんでした。

そしてもうひとつ、数字で書いておきたいことがあります。

前の職場は通勤に片道1時間。いまは、車で5分です。

往復2時間が10分になりました。1日1時間50分。残業が減ったとか休みが増えたとかいう話ではなく、毎日ただ戻ってくる時間です。第1回で「子どもと過ごせるのは1日3〜4時間」と書いた、そこに足される時間です。

通勤時間は、条件欄に書かれません。自分で地図を見るしかない項目です。でも子育て中の人間には、下手な手当より効きます。

ただし「自由の中身」は聞いてください

自由度の高い働き方ほど、確認が要ります。

自宅で記録ができるということは、裏を返せば仕事が家に入ってくるということです。子どもを寝かしつけたあとにパソコンを開く日が続けば、施設で残業していたのと何が違うのか、という話になりかねません。

「自宅でもできる」と「自宅でやることになる」は、まったく別です。

同じ条件を提示された方は、もう一歩踏み込んでください。

「みなさん、実際は記録をどこで書かれていますか?」

制度として認められているかと、実際どう運用されているかは違います。聞くべきは後者です。私自身がどうなったかは、第6回からのリアルタイム記録で正直に書きます。

確認したこと③体制——「誰がいるか」は条件欄に載らない

事業所の体制も確認しました。常勤のケアマネが複数名いること、そのなかに主任ケアマネが複数名いること、記録ソフトはワイズマンであること。

ここから何を読み取ったかを書きます。

常勤が複数いる。居宅介護支援事業所は、常勤1〜2人という体制も珍しくありません。人数がいるのは、分からないことを聞ける相手がいるということ。施設から移る人間には、想像以上に大きい。

主任ケアマネがいる。ここは私にとって特別な意味がありました。第1回に書いたとおり、施設を辞めた理由のひとつは主任ケアマネへの道です。兼務では専任の経験が積めない。その私が、主任ケアマネが複数いる事業所に入る。目指す先にいる人が、同じ事務所にいる。条件欄には表れませんが、5年後を考えるなら最重要級の情報です。

ワイズマン。これは前職では使っていなかったソフトでした。つまり、ケアマネの仕事を覚えるのとソフトの操作を覚えるのが、同時に来るということです。「覚えることが2つある」と知って初日を迎えるのと、知らずに迎えるのとでは、身構え方がまったく違います。

なお、体制を確認するときは特定事業所加算を取っているかも合わせて聞くのがおすすめです。第2回で「求人を見るときの目印」として書いたとおり、事業所の体制を測る手がかりになります。

確認したこと④給与——「上がらなかった」転職です

最後に、いちばん気になるところを。

給与は、前職とほぼ同水準でした。賞与はあり。ただし業績による。条件が書面で出てきたので、ここは駆け引きではなく、紙を見て確認する話になりました。

「転職したのに給料が上がっていない」と読めたと思います。そのとおりです。

でも、失敗だとは思っていません。

同じ給与で、1日1時間50分が戻ってきたからです。

通勤が片道1時間から5分になり、シフトから完全フレックスになり、兼務から専任になった。金額は同じでも、その金額を得るために差し出している時間が違います。時給に換算したら、たぶん上がっています。そして第1回で書いた辞める理由は、給与ではありませんでした。取り返したかったのは、時間のほうです。

だから、「年収が上がるか」だけで判断しないでください。同じ年収でも、通勤時間・拘束時間・休日の数で、手元に残る生活はまったく違います。求人票の給与欄は、その差を教えてくれません。

ひとつだけ注意点を。私の賞与は「業績による」でした。担当件数のインセンティブと同じ、成果に連動する設計です。私は納得できるタイプなので不満はありません。ただ、業績連動は、保証されていないということでもあります。

「賞与あり」の一言で止めず、もう一歩。

「直近の実績だと、何ヶ月分くらい出ていますか?」

制度の有無より、実績を聞く。有給の取得率でも残業時間でも同じです。求人票に書けるのは制度までで、実態は聞かないと出てきません。

そのまま使える確認リスト

エージェント経由の方は、担当者に代わりに聞いてもらえる項目も多いはずです。

まず、これだけは

  • □ 条件を書面でもらう(口頭だけで終わらせない)

担当件数・業務量

  • □ 入職時点で何件を担当する想定か
  • □ 何件から給与の扱いが変わるか(インセンティブの境目と単価)
  • □ 給付管理は誰がどこまで担当するか
  • □ 記録ソフトは何か(使ったことがあるか)

働き方

  • □ 直行直帰は可能か/勤務時間の裁量はあるか
  • □ 記録はどこで書くのか。そして実際、みんなどこで書いているのか
  • □ 緊急・時間外の連絡は誰がどう受けるか
  • □ 休日が保育園の暦と合うか/子どもの急な発熱で抜けるときの扱い
  • □ 通勤時間(条件欄には書かれない。自分で地図を見る)

給与

  • □ 基本給とその内訳/昇給の仕組み
  • □ 賞与は「あり」で止めず、直近の実績まで聞く
  • □ 手当(資格・住宅・通勤・車両やガソリン代)
  • □ 年収だけでなく、「その年収のために差し出す時間」で比べる

体制・将来

  • □ 常勤ケアマネの人数/主任ケアマネがいるか
  • □ 特定事業所加算の取得状況
  • □ 入職後の同行・OJTの期間

聞き方のコツ

聞きづらい項目ほど、理由をセットにすると聞けます。

「家族にも説明したいので、条件を書いたものをいただけますか」

「将来的に主任ケアマネを目指したいので、研修の体制を伺えますか」

自分の事情を先に開示すると、質問が詮索ではなく相談になります。ケアマネとしてご家族から本音を引き出すときと同じやり方だな、と後で気づきました。

入職して3週間。いまのところ、書面どおりです

この記事を書いているのは、入職から3週間が経ったところです。

いまのところ、聞いていた条件と実際のズレはありません。書面に書かれていたとおりの働き方をしています。

拍子抜けするような報告かもしれません。でも、これを「ズレがない」と言い切れること自体が、書面をもらっておいた効果だと思っています。記憶だけを頼りにしていたら、「そういえば、こういう話だった気がする」と曖昧なまま、少しずつ条件が擦り減っていくこともあり得ます。照らし合わせる紙があるから、違っていないと言える。

もちろん、3週間で分かることには限りがあります。インセンティブの対象になる件数まで、どれくらいで到達するのか。記録は結局どこで書くことになるのか。完全フレックスは、本当に自分の裁量で回せるのか。制度としては分かっていても、体感としてはこれからです。

その答え合わせを、次の連載でやっていきます。

30分の面談と、1枚の書面と、1週間

面談から1週間。私は「行きます」と返事をしました。

その場で即答することもできた話です。相手は元上司で、条件も悪くない。でも、書面を持ち帰って、家族と話して、それから返事をする。この手順を踏んだことに意味がありました。第3回に書いたとおり、直接ルートには「間に入って相場を教えてくれる人」がいません。だからこそ、即答しないことが唯一の防衛線になります。

同じように声をかけてもらった方へ、ひとつだけ。

「嬉しい」と「条件が良い」は、分けて考えてください。

声をかけてもらえたこと自体は、これまでの仕事ぶりが認められたということです。誇っていい。ただ、それと労働条件は別の話です。確認しても、関係が悪くなることはありません。むしろ、きちんと確認してくる人のほうが長く働いてくれる——採用する側だって、そう思うはずです。

その後、1ヶ月が経ちました。書面どおりだった部分と、入ってみて初めて分かった部分を記録しています。

▶ 新人の居宅ケアマネが何もわからないのは当然|施設7年・1ヶ月目

次回予告

第5回は、「退職の伝え方と引き継ぎ」です。

行き先が決まったあとに待っていたのは、もっと重い話でした。私は退職日の半年前に伝えています。それでも後任はなかなか決まらず、「誰に引き継ぐのか分からないまま引き継ぎ準備をする」という時間を過ごすことになりました。

実際に使った第一声と、そのとき残したマニュアルの中身まで書きます。

あわせて読みたい

コメント

タイトルとURLをコピーしました