「施設ケアマネを辞めたい。でも、辞めていいのか分からない」
もしあなたが今そう思っているなら、この記事は少しだけ役に立てるかもしれません。
こんにちは、ケアマネパパです。介護業界歴約20年、施設でケアマネ兼相談員として働く一児のパパです。
私は今年、施設ケアマネを辞めます。2026年9月から、居宅介護支援事業所のケアマネとして働くことを決めました。
この連載は、その転職をリアルタイムで記録していくものです。第1回の今回は、「なぜ辞めると決めたのか」を包み隠さず書きます。
この記事で分かること
- 施設ケアマネの私が転職を決めた3つの理由
- 「辞めたい」と「辞める」の間にあった迷いと、その整理のしかた
- 転職を決めて最初にやったこと
私のプロフィールと現在地
まず、簡単に私の現在地を。
- 介護業界歴約20年(介護職からスタート)
- 保有資格: 介護支援専門員、介護福祉士
- 現職: 施設のケアマネ兼生活相談員(今の職場で5年目)
- 家族: 妻と保育園に通う子どもの3人暮らし
- 通勤: 片道約1時間(往復2時間)
「ケアマネ兼相談員」という肩書きですが、実際の毎日はもっと複雑です。そのあたりが、辞めると決めた理由に深く関わってきます。
辞めると決めた3つの理由
理由1: 送迎や事務所対応で「ケアマネの仕事」ができない
施設のケアマネと聞くと、ケアプランを作り、入居者さんやご家族と面談し、モニタリングをして…という姿を想像するかもしれません。
現実の私の一日は、こうです。
朝、送迎の人手が足りなければ私が車を出す。事務所にいれば電話対応、来客対応、突発的な現場のヘルプ。気がつけば夕方で、肝心のケアプランや記録は後回し。「今日もケアマネの仕事、ほとんどできなかったな」と思いながら帰る日が、正直めずらしくありませんでした。
誤解のないように書くと、送迎も事務所対応も施設には必要な仕事です。誰かがやらなければ現場は回りません。
ただ、「ケアマネとして採用されたのに、ケアマネ業務が一番後回しになる」という構造の中で何年も働くうちに、自分が何の専門職なのか分からなくなっていきました。
理由2: 主任ケアマネを取りたい。でも今のままでは経験が積み上がらない
2つ目は、キャリアの問題です。
私にはケアマネとしての次の目標があります。主任介護支援専門員(主任ケアマネ)です。
主任ケアマネの研修を受けるには、原則として「専任のケアマネとして通算5年(60ヶ月)以上」の実務経験が必要とされています(※要件の細かい運用は都道府県によって異なります)。
ここで、私の「ケアマネ兼相談員」という立場が引っかかります。相談員業務はほぼしていないのが実態でも、辞令の上では兼務。この働き方を続けた場合、「専任としての経験」がきちんと積み上がっていくのか。自分のキャリアを棚卸ししたとき、大きな不安が残りました。
居宅のケアマネであれば、業務はケアマネ業務そのもの。経験がそのまま主任ケアマネへの道につながります。
「あと何年、キャリアにならないかもしれない働き方を続けるのか」——この問いが、転職を考える決定打のひとつになりました。
理由3: 子どもと過ごせる時間が、1日3〜4時間しかない
3つ目は、いちばんシンプルで、いちばん重い理由です。
わが家の平日はこんなスケジュールです。
- 6:00 子どもを起こす
- 7:00 保育園へ送る
- (往復2時間の通勤+仕事)
- 18:00 お迎え
- 20:00前後 子ども就寝
計算してみると、子どもと一緒にいられるのは1日3〜4時間。しかもその大半は、朝の支度と夜のごはん・お風呂・寝かしつけで慌ただしく過ぎていきます。
このブログでずっと「非認知能力」や「子どもとの関わり方」について書いてきた私が、当の自分の子どもと1日3〜4時間しか一緒にいられない。このギャップに、ずっとモヤモヤしていました。
「パパ、あそぼう」と言ってくれる期間は、思っているよりずっと短い。通勤時間と働き方を見直せば、この時間を増やせる。それなら動くのは今だと思いました。
「施設ケアマネを辞めたい」と感じた理由は、ほかにもあります
ここまで、私が辞めると決めた大きな理由を3つ書きました。
ただ、正直に言えば「辞めたい」と感じた瞬間は、もっと細かいところにも転がっていました。同じ立場の方なら、思い当たるものがあるかもしれません。
施設と家族と多職種の板挟みになる
ケアマネは調整役です。施設の都合、ご家族の希望、看護や介護の現場の事情。それぞれに正しさがあって、どれも無視できません。
間に立って調整するのが仕事だと分かってはいても、どちらからも「もっとこうしてほしい」と言われ続けると、自分は誰の味方なのか分からなくなります。
事業所にケアマネが自分1人で、相談相手がいない
判断に迷ったとき、同じ立場で相談できる人がそばにいませんでした。
介護のことは介護職に、看護のことは看護師に聞けます。でも「ケアマネとしてどう判断すべきか」を聞ける相手がいない。この孤独は、働いた人にしか伝わりにくい部分だと思います。
「施設ケアマネはいらない」という声がある
施設ケアマネ不要論、と呼ばれることもあります。ケアプランは形式的で、実際に動いているのは現場だ、という見方です。
全面的に否定はしません。そう見える施設があるのも事実だと思います。ただ、その中で自分の役割を問い続けるのは、じわじわ効いてきました。
責任の重さに対して、給与が上がらない
資格を取り、研修を受け、責任も増えました。それでも収入は大きく変わりませんでした。
お金だけが理由なら辞めていません。ただ「これだけ抱えて、この待遇か」と思う瞬間が積み重なると、気持ちは確実に削られていきます。
「辞めたい」と「辞める」の間にあった迷い
とはいえ、すんなり決断できたわけではありません。
- 約20年お世話になった介護業界と、5年勤めた今の職場への恩と罪悪感
- 収入が下がるかもしれない不安
- 居宅は未経験。やっていけるのかという不安
この3つの間で、正直、行ったり来たりしました。
迷いを整理するためにやったのは、単純なことです。紙に「辞めたい理由」と「残りたい理由」を全部書き出して、妻に見せながら話しました。
書き出してみると、「残りたい理由」の多くは職場への申し訳なさで、「自分や家族の未来」の話がほとんど入っていないことに気づきました。逆に「辞めたい理由」は、キャリアと家族の話ばかり。
答えは、紙の上に出ていました。
辞める前に、試せることもあります
私は転職を選びましたが、全員が辞めるべきだとは思っていません。
環境を変えずに解決できることもあります。辞めると決める前に、次のことは確認しておく価値があります。
1. 業務の切り分けを上司に相談する
送迎や現場ヘルプがケアマネ業務を圧迫しているなら、まずそこを数字で示して相談してみる価値はあります。「忙しい」ではなく「今週、ケアプランに使えた時間は◯時間でした」と伝えるほうが動きます。
2. 自分の辞令と肩書きを確認する
専任か兼務かは、主任ケアマネの要件に関わってきます(※要件の細かい運用は都道府県によって異なります)。自分がどう扱われているかは、早めに確認しておくべきです。
3. 事業所の外に相談相手をつくる
研修や勉強会、オンラインのつながりでも構いません。「同じ立場の人がいる」と分かるだけで、孤独はかなり軽くなります。
4. 心身に不調が出ているなら、まず休む
眠れない、食べられない、涙が出る。こうしたサインが出ているなら、転職を考える前に休んでください。判断力が落ちた状態で決めた転職は、うまくいきません。
これらを試したうえで、それでも変わらないなら。そのときは、環境を変えることを本気で考えていいと思います。
転職を決めて最初にやったこと
決断したあと、最初にやったのは情報収集です。いきなり退職を切り出すのではなく、まず「居宅ケアマネの求人が実際どれくらいあるのか、条件はどうなのか」を知ることから始めました。
具体的には、介護専門の転職サービスに登録して、通勤圏内の求人と給与相場を眺めるところから。ここで市場を知ったことで、「辞めても行き先はある」と分かり、気持ちがかなり楽になりました。
私が比較・検討した転職サービスは、こちらの記事にまとめています。
同じように悩む施設ケアマネさんへ
最後に、かつての私と同じように「辞めたいけど動けない」でいる方へ。
辞めることは、裏切りではありません。そして、転職サービスへの登録や求人を眺めることは無料で、登録しただけで何かが決まるわけでもありません。
「今の職場で働き続けた5年後」と「環境を変えた5年後」を並べて考える材料を集める——それだけでも、視界はずいぶん変わります。まずは求人を眺めてみるだけでも一歩です。
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次回予告
第2回を公開しました。転職先を考えるうえで自分なりに整理した「施設ケアマネと居宅ケアマネの違い」を、仕事内容・給料・働き方の面から書いています。
▶ 施設ケアマネと居宅ケアマネの違い|仕事内容・給料・働き方を転職前に整理してみた【転職連載②】
▶ ケアマネ転職はエージェントと直接応募どっち?2回転職した私の比較【転職連載③】
▶ 居宅ケアマネ転職の面接で確認すべきこと|面談30分で決めた私の確認リスト【転職連載④】
この連載「施設ケアマネ、居宅に行く。」は、2026年9月の転職に向けたリアルタイムの記録です。
この記事を書いた人:ケアマネパパ。介護業界歴約20年の現役ケアマネジャー(介護支援専門員)。転職エージェントを活用して年収アップを実現した経験から、介護職・ケアマネのリアルな転職情報を発信しています。
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